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シニア薬剤師の給料相場と定年後の現実!60代からの賢いキャリア戦略【2026年版】

60代シニア薬剤師の給料相場や定年後のキャリア戦略を解説するインフォグラフィック。50代からの年収推移グラフ、雇用形態(正社員・パート・嘱託)別の待遇比較表、年金を考慮した働き方のポイントなどを図解。

「定年を迎えたら、今の薬局で再雇用してもらうのが一番安心だろうか?」
「60歳を過ぎると給料が半分になるという噂を聞いたけれど、本当なのだろうか?」

長年、地域の医療を支えてきた薬剤師の皆様にとって、定年後のキャリアと収入の問題は切実な悩みですよね。これまで管理薬剤師としてバリバリ働いてきた方でも、いざ「シニア」と呼ばれる年代に差し掛かると、ご自身の市場価値や今後の生活設計に不安を覚えるのは当然のことです。

実は、シニア薬剤師の給料相場は、働き方や選ぶ職場によって天と地ほどの差があります。単に「年齢」だけで一律に評価されるわけではなく、戦略次第では現役時代に近い収入を維持することも、あるいは収入を少し落としてプライベートを充実させる「ダウンシフト」を実現することも可能です。

この記事では、調剤薬局での勤務経験を持つ私が、「シニア薬剤師の給料相場のリアル」と、定年後も幸せに働き続けるための「具体的なキャリア戦略」について、綺麗事抜きで解説します。これから訪れるセカンドキャリアを、より豊かなものにするためのヒントとしてお役立てください。

この記事で分かること

  • 60代以降のシニア薬剤師のリアルな給料相場と年収推移
  • 定年再雇用で給料が激減する「構造的な理由」
  • 年金を受け取りながら損せず働くための最適な年収設定
  • シニアでも歓迎される「狙い目」の職場と、避けるべきブラック求人
筆者

60代は薬剤師人生の「第2章」です。数字という現実を直視しつつ、ご自身にとって一番心地よい働き方を一緒に探していきましょう。

CONTENT

【現実】60代シニア薬剤師の給料相場と「年収の崖」の正体

まずは、目を背けたくなるかもしれない「現実の数字」から見ていきましょう。多くの薬剤師の方が漠然と抱いている「定年後は給料が下がる」というイメージは、統計的にも事実です。しかし、重要なのは「どれくらい下がるのか」、そして「なぜ下がるのか」を正確に把握することです。ここを曖昧にしたまま定年を迎えると、想定していたライフプランが大きく狂ってしまう可能性があります。ここでは、厚生労働省の統計データや市場の求人動向をもとに、シニア薬剤師の給料相場の実態を詳細に紐解いていきます。

50代ピーク時から20〜30%ダウンする残酷な平均年収データ

薬剤師の年収カーブは、一般的な会社員と同様に50代でピークを迎えます。管理薬剤師やエリアマネージャーとして責任あるポストに就き、手当が厚くなるためです。しかし、60代に入るとそのカーブは急激に下降線をたどります。

具体的な数字を見てみましょう。m3.comの調査データによると、60代薬剤師の平均年収は622万円(男性626万円、女性598万円)となっています。これに対し、厚労省データを解説するヤクヨミの記事によれば、50代前半の男性薬剤師の平均年収は約804万円、後半でも約764万円です。

つまり、50代から60代に移行するだけで、平均して約150万〜200万円近く年収がダウンすることになります。これは率にして約20〜30%の減少です。この「年収の崖」は、役職定年による手当の消失や、フルタイムから嘱託・パートへの雇用形態の変更が主な要因です。

ただし、これはあくまで「平均値」であることに注意が必要です。60代でもフルタイムで管理薬剤師を続ける人と、週3日のパート勤務に切り替える人が混在しているため、個々人の実感としては「半分になった」と感じるケースもあれば、「意外と変わらなかった」というケースもあり、二極化が進んでいます。

年代・性別 平均年収(推計) 前年代比 主な収入要因
50代前半(男性) 約804万円 管理職手当、勤続給のピーク
50代後半(男性) 約764万円 ▼約5% 役職定年の開始、早期退職
60代全体(男性) 約626万円 ▼約18% 再雇用による基本給カット
65歳以上(推計) 約400万〜500万円 ▼大幅減 年金受給に伴う勤務調整

雇用形態別に見るリアルな待遇差(正社員・パート・嘱託)

シニア薬剤師の給料を左右する最大の要因は「雇用形態」です。定年後の選択肢として主に挙げられるのが、「再雇用(嘱託社員)」「正社員(転職)」「パート・アルバイト」の3つです。それぞれの相場観と特徴を理解しておくことが重要です。

まず、最も一般的な「再雇用(嘱託社員)」の場合、年収は現役時代の5〜7割程度、金額にして350万〜450万円程度になることが多いです。業務内容は変わらないのに給料だけが下がるため、モチベーション維持に苦しむ方が多いのがこのパターンです。賞与(ボーナス)が出ない、あるいは寸志程度になることも年収ダウンの大きな要因です。

次に、「パート・アルバイト」の場合、時給相場は全国平均で2,000円〜2,200円ほどです。シニアジョブの調査では最高時給2,600円というデータもありますが、これは都市部のドラッグストアや緊急募集の案件に限られます。週3日勤務で月収15〜20万円程度を目指すスタイルが一般的です。

一方で、60代でも「正社員」として転職し、年収500万〜600万円を維持する猛者もいます。ただし、これには「管理薬剤師ができる」「土日も働ける」「在宅業務で車の運転ができる」といった付加価値が必須条件となります。

雇用形態 年収・時給相場 メリット デメリット
正社員(転職) 年収500万〜650万円 収入が高い
社会保険完備
責任が重い
即戦力性が厳しく問われる
再雇用(嘱託) 年収350万〜450万円 環境変化がない
人間関係が継続
給料激減でも仕事は同じ
モチベーション低下
パート 時給2,000〜2,500円 時間の融通が利く
責任が軽い
収入が不安定
退職金や賞与がない

地域格差の真実:都市部の買い叩きと地方のVIP待遇

「東京や大阪の方が給料が高いはず」と思っていませんか? 実はシニア薬剤師市場においては、この常識は逆転します。都市部は薬剤師の数が充足傾向にあり、特に若手薬剤師も採用しやすいため、あえてコストのかかるシニアを高待遇で迎えるメリットが企業側に少ないのです。結果として、「時給2,000円でも来るなら雇う」という買い手市場になりがちです。

対照的に、地方やへき地(北海道、東北、山陰、離島など)では、慢性的な薬剤師不足が続いています。ここでは年齢に関係なく「免許を持っているだけで神様」のような扱いを受けることも珍しくありません。実際、北海道の富良野市などでは、60代以上可で年収750万円、時給3,000円といった破格の求人が確認されています。

もしご家庭の事情が許すなら、期間限定で地方の薬局へ「出稼ぎ」に行くのも一つの戦略です。例えば、「1年のうち半年だけ地方で高年収で働き、残りの半年は自宅でのんびり過ごす」といった、シニアならではの自由な働き方を実現している方もいらっしゃいます。地域の需要と供給のバランスを味方につけることで、シニアの市場価値は跳ね上がるのです。

私の知人の65歳男性薬剤師は、都内の薬局を退職後、温泉地近くの薬局に転職しました。「年収は現役時代と同じ650万円をキープできているし、仕事終わりの温泉が最高だ」と話していました。場所を変えるだけで、これほど待遇が変わるのがこの業界の面白さでもあります。

筆者

都市部で「年齢」を理由に断られ続けて自信を失っているなら、一度地方の求人に目を向けてみてください。あなたを「喉から手が出るほど欲しい」と思っている薬局は、日本のどこかに必ずあります。

なぜシニア薬剤師の給料は下がるのか?構造的要因と将来予測

「今まで通り働いているのに、なぜ給料だけ下がるのか納得できない」。そう感じる方も多いでしょう。しかし、これには企業側の論理や法制度、そして業界全体の構造的な変化が深く関わっています。敵を知り己を知れば百戦危うからず。給料が下がるメカニズムを理解することで、感情的な不満を論理的な対策へと変えていきましょう。

「同一労働同一賃金」の抜け穴と再雇用制度の落とし穴

定年後の再雇用で賃金が下がったにも関わらず、以前と同じ責任の重い業務を任され、働き方に悩むシニア薬剤師のイラスト。「同一労働同一賃金」の抜け穴問題を表現しています。

2020年から施行された「同一労働同一賃金」ですが、定年後の再雇用においては、未だに多くの「抜け穴」が存在します。最高裁の判例でも、定年再雇用に伴う一定の賃金ダウンは「長年の功労に対する退職金の支払いや、定年後の雇用確保という事情」を考慮し、不合理ではないとされる傾向にあります。

企業側としては、シニア層の給与を抑えることで、若手社員の昇給原資を確保したいという本音があります。また、定年再雇用の契約社員には「賞与」や「退職金積立」が含まれないことが多く、これが年収ベースでの大幅ダウンに直結します。

さらに厄介なのが、「責任の所在」があいまいなまま据え置かれることです。本来なら給料ダウンに合わせて業務負荷も減らすべきですが、現場の人手不足により「以前と同じように一人薬剤師の時間帯を任される」「管理薬剤師の代行を頼まれる」といったケースが多発しています。これが「給料泥棒」ならぬ「働き損」を生む最大の要因です。

2045年問題と薬剤師過剰時代がもたらすシニア雇用の未来

さらに視野を広げると、薬剤師業界全体に漂う「需給バランスの変化」も見逃せません。厚生労働省の予測によれば、2045年には最大で約12.6万人の薬剤師が過剰になると言われています。これは、将来的に「薬剤師免許さえあれば一生安泰」という神話が崩壊することを意味します。

供給過多になれば、当然ながら企業は「より若く、よりコストの低い人材」を優先的に採用します。シニア薬剤師にとっては、現在よりもさらに厳しい冬の時代が到来するリスクがあります。時給相場が1,800円台まで下落する可能性もゼロではありません。

だからこそ、今のうちに「代わりの利かないスキル」を身につけるか、あるいは「資産形成と働き方のバランス」を見直す必要があります。単に調剤ができるだけでは、AIやテクニシャン(調剤補助)に仕事を奪われ、価格競争に巻き込まれてしまうでしょう。

現場の本音:管理薬剤師経験があっても「未経験扱い」される理由

「私は大手チェーンでエリアマネージャーまで務めた」というプライドが、転職市場では邪魔になることがあります。現場の採用担当者がシニアに求めているのは、マネジメント能力よりも「現場のプレイヤーとしての即戦力」「扱いやすさ」だからです。

特に、長年管理職として現場を離れていた場合、最新のレセコン操作や対人業務(服薬指導)の勘が鈍っていると判断され、実質的な「未経験者」と同じ扱いを受けることがあります。また、年下の上司(管理薬剤師)からすると、元・偉い人は「指導しづらい」「プライドが高くて扱いにくい」と敬遠されがちです。

実際、マイナビ薬剤師の事例でも、60代で異業種から調剤薬局へ転職した際、年収が800万円から490万円へ大幅ダウンしたケースが紹介されています。過去の栄光よりも、今の現場でどれだけ汗をかけるか。その姿勢を見せられるかが、給与維持の分水嶺となります。

給料ダウンを防ぐための具体的なキャリア戦略と選択肢

定年後の再雇用で賃金が下がったにも関わらず、以前と同じ責任の重い業務を任され、働き方に悩むシニア薬剤師のイラスト。「同一労働同一賃金」の抜け穴問題を表現しています。

ここまでは厳しい現実をお伝えしましたが、悲観する必要はありません。制度や仕組みを逆手にとれば、手取り収入を最大化し、精神的にも豊かな働き方を実現することは十分に可能です。ここでは、シニア薬剤師がとるべき具体的な「生存戦略」を3つ提案します。

「在職老齢年金」をカットさせない最強の働き方シミュレーション

60代以降の働き方で最も注意すべきなのが「在職老齢年金制度」です。これは、働きながら受け取る「老齢厚生年金」と「給与(総報酬月額相当額)」の合計が一定額(令和6年度基準で月額50万円)を超えると、年金の一部または全額が支給停止される仕組みです。

「がむしゃらに働いて月収40万円稼いだ結果、年金がカットされて手取りがほとんど増えなかった」という事態は避けたいですよね。賢いシニアは、この「50万円の壁」を意識して労働時間を調整しています。

例えば、年金受給額が月10万円の場合、給与は月40万円までなら年金カットされません。時給2,200円のパート勤務なら、月180時間(ほぼフルタイム)働いてもギリギリセーフです。しかし、年金が月15万円あるなら、給与は35万円(月160時間程度)に抑えるのが得策です。

損しない働き方のポイント

  • まずはご自身の「年金見込額」をねんきん定期便で確認する
  • 「年金月額 + 給与月額 ≦ 50万円」になるよう勤務日数・時間を逆算する
  • ボーナス込みの年収で計算されるため、賞与なしのパート契約の方が調整しやすい場合も

狙い目の職場はここだ!療養型病院と「軽単科」薬局のメリット

療養型病院で患者さんと穏やかに話すシニア薬剤師。体力的な負担が少ない働きやすい職場への転職は、経験を活かしながら長く働くための選択肢の一つです。

体力に自信がなくなってきたシニア世代におすすめなのが、業務負荷が比較的軽い職場を選ぶ戦略です。具体的には「療養型病院」「軽単科(眼科・皮膚科・心療内科など)の門前薬局」が狙い目です。

療養型病院は、容体が安定している長期入院患者がメインのため、急性期病院のような分刻みの忙しさや緊急対応がほとんどありません。定期処方が中心で、当直なし・残業なしの求人も多く、ゆったりと患者さんと向き合えます。

また、眼科や皮膚科の門前薬局は、処方内容がパターン化されており、散剤(粉薬)や水剤の調合が少ない傾向にあります。これは老眼や手先の震えが気になり始めたシニア薬剤師にとって大きなメリットです。重い輸液を運んだり、一日中立ちっぱなしで調剤台を往復したりする負担を減らすことができます。

逆に避けるべきは、総合病院の門前や、小児科・耳鼻科の門前です。これらは処方箋枚数が多く、監査システムのアラートが鳴り止まない激務環境であることが多く、体力勝負になりがちです。

管理薬剤師をあえて降りる「ダウンシフト」という賢い決断

「年収は高い方がいい」というのは一つの価値観ですが、60代からは「健康寿命」と「ストレスフリー」を優先する価値観も重要です。管理薬剤師という肩書きをあえて捨て、一般薬剤師(パートや契約社員)として働く「ダウンシフト」を選択する方が増えています。

管理薬剤師を降りれば、在庫管理、薬歴の最終責任、従業員のシフト調整、クレーム対応といった重圧から解放されます。年収は100万円ほど下がるかもしれませんが、その分、家に帰ってからの時間や休日の心の安らぎが得られます。

「責任ある立場から退くのは寂しい」と感じるかもしれませんが、現場では「豊富な知識を持った相談役」として、若手から頼られるポジションを確立することも可能です。役職ではなく、人間力でリスペクトを集める。これこそがシニア薬剤師の理想的な在り方ではないでしょうか。

筆者

私の知人は「管理薬剤師手当の月5万円は、胃薬代とストレス発散の飲み代で消えていた」と笑っていました。手放すことで得られる「心の余裕」は、お金には代えられない価値があります。

60代でも「選ばれる薬剤師」になるための必須スキルと履歴書対策

「年齢不問」の求人に応募しても、書類選考で落とされてしまう。そんな経験はありませんか? シニア薬剤師が採用を勝ち取るためには、若手と同じ土俵で戦ってはいけません。シニアならではの強みをアピールしつつ、企業側が抱く「シニア雇用への懸念」を先回りして払拭するテクニックが必要です。

電子薬歴と新システムへの適応力が採用の生命線

現在、ほとんどの薬局で電子薬歴やピッキング監査システムが導入されています。採用担当者がシニア薬剤師に対して抱く最大の不安は「新しいシステムを使いこなせるか?」という点です。

面接で「パソコンは苦手です」「手書きの薬歴の方が慣れています」と言ってしまうのは致命的です。たとえタイピングが遅くても、「スマホで毎日ニュースを見ています」「前の職場ではiPadでの入力を行っていました」といったエピソードを交え、ITへの抵抗感がないことをアピールしましょう。

もし未経験のレセコンであっても、「マニュアルを読んで自宅で復習します」という学習意欲を見せることが重要です。スキルそのものより、「覚えようとする柔軟な姿勢」が評価されます。

「謙虚さ」と「健康」をアピールする面接でのキラーフレーズ

シニア採用の可否を分けるのは、実は能力よりも「人柄」です。特に重要なのが、年下の上司(管理薬剤師)の指示に素直に従える「謙虚さ」と、急な欠勤をしない「健康管理能力」です。

面接では以下のフレーズを意識して使ってみてください。これらは採用担当者の不安を解消する魔法の言葉です。

面接で効果的なキラーフレーズ例

  • 「管理薬剤師の経験はありますが、新しい職場では一新人として、薬局長の方針に従って業務を覚えさせていただきます」
  • 「過去5年間、病気による欠勤はありません。健康管理には人一倍気を使っています」
  • 「若い方々と働くことで、私自身も新しい刺激を受けたいと思っています」

逆に、「前の職場ではこうだった」「私の経験では〜」といった言葉は、頑固な印象を与えるため封印しましょう。

未経験分野への挑戦はアリか?調剤・漢方・OTCの難易度比較

定年後に「心機一転、新しい分野に挑戦したい」と考える方もいますが、分野によって難易度は大きく異なります。

分野 シニア未経験の難易度 理由と対策
調剤薬局 ★★★★☆(高) スピードと正確性が求められる。新薬の知識量も膨大。研修制度のある大手ならチャンスあり。
漢方薬局 ★★☆☆☆(低〜中) 経験則やカウンセリング能力が重視されるため、ベテランの人生経験が活きやすい。
OTC(ドラッグストア) ★★★★★(激高) 品出しやレジ打ちなどの肉体労働がきつい。体力に自信がある人以外は避けるのが無難。
在宅医療 ★★★☆☆(中) 運転ができれば重宝される。患者さんや家族との対話力が鍵となるため、シニアに向いている側面も。

転職エージェント活用法と失敗しない求人の探し方

最後に、具体的な求人の探し方についてです。ハローワークや求人誌も悪くありませんが、効率よく好条件の求人を見つけるなら転職エージェントの活用は必須です。ただし、シニアにはシニアなりの「使い方のコツ」があります。

大手よりも「シニア特化」や「地域密着型」が強い理由

リクナビやマイナビといった超大手のエージェントは、どうしても若手〜中堅の求人が中心になりがちです。シニア歓迎の求人が少ないため、登録しても「紹介できる案件がありません」と断られてしまうこともあります。

一方、シニア層に強いのは、ジョブメドレーのようなダイレクトリクルーティング型や、地元の薬局と太いパイプを持つ「地域密着型」のエージェントです。これらは「急な欠員が出たから、週2日でもいいからベテランに来てほしい」といった、表に出てこないニッチな求人情報を持っています。

また、エージェントを通すことで、「年下の上司とうまくやれるか」「重いものを持つ業務はあるか」といった、面接では聞きにくい質問を事前に確認してもらえるメリットもあります。

ブラック求人の見分け方:「一人薬剤師」と「管理薬剤師急募」の罠

シニア歓迎の求人の中には、若手が寄り付かない「ブラック案件」が紛れ込んでいることがあります。特に注意すべきキーワードは「一人薬剤師」「管理薬剤師急募」です。

一人薬剤師の店舗は、休憩が取れない、トイレにも行けない、体調不良でも休めないという「三重苦」になりがちです。体力が低下してくる60代にとっては命取りになりかねません。必ず「複数体制」の店舗を選びましょう。

また、「管理薬剤師急募」で年収が高く設定されている場合、前任者が激務や人間関係のトラブルで逃げ出した可能性があります。高い給料には必ず「ウラ」があります。エージェントを通じて、離職率や前任者の退職理由を確認することをお勧めします。

退職金と転職タイミングの損益分岐点を計算する

「定年まであと1年あるけど、今すぐ転職した方がいいのか?」と迷う場合、退職金の規定を確認してください。多くの企業では、定年退職(会社都合扱い)と自己都合退職では、退職金の支給率が大きく異なります。

例えば、定年まで勤め上げれば退職金が1,000万円出るが、今辞めると700万円に減る場合、差額の300万円を転職先の給料アップ分で回収できるかを計算する必要があります。シニア転職での大幅な年収アップは難しいため、基本的には「定年退職で満額の退職金をもらってから、再雇用か転職かを選ぶ」のが経済的には最も合理的です。

ただし、今の職場環境が精神的に限界で、健康を害する恐れがあるなら話は別です。お金よりも心身の健康を最優先してください。

筆者

退職金や年金も含めた「生涯収支」で考えるのがシニアの転職戦略です。目先の月給だけでなく、トータルで損をしない選択をしましょう。

Q. 60歳以降も正社員で雇ってくれる薬局はありますか?

A. あります。ただし、管理薬剤師の欠員が出ている店舗や、地方・へき地などの不人気エリアが中心となります。また、「在宅医療」のための運転業務ができる場合は、60代でも正社員採用される確率が格段に上がります。

Q. パートの時給相場はどれくらいですか?

A. 全国平均で2,000円〜2,200円程度です。しかし、土日祝日の勤務や17時以降のラストまで勤務可能な場合は、2,500円〜2,800円まで交渉可能なケースがあります。まずは相場を知ることから始めましょう。

Q. ブランクが10年ありますが復帰できますか?

A. 可能です。ただし、新薬の知識や法改正(リフィル処方箋など)のキャッチアップは必須です。研修制度のある大手チェーンを選ぶか、eラーニング等で自習している姿勢を面接で見せることが採用への鍵となります。

Q. 転職活動は退職のどれくらい前から始めるべきですか?

A. シニアの転職活動は若手より時間がかかるため、平均して3〜6ヶ月は見ておくべきです。条件に合う求人が出るタイミングを待つ必要があるため、退職する半年以上前から情報収集を始めるのが安全です。

Q. 結局、薬剤師は何歳まで働けますか?

A. 法的な定年はありません。個人の体力と認知機能が続く限り働けます。実際、70代後半でも現役で投薬を行っている薬剤師は珍しくありませんが、75歳を超えると求人の選択肢は極端に狭まるのが現実です。

Q. 履歴書には正直に年齢を書くべきですか?

A. 必ず正直に記載してください。薬剤師免許証には生年月日が記載されており、隠しても必ずバレます。むしろ、年齢を感じさせない健康状態や意欲を職務経歴書や面接でアピールすることが重要です。

まとめ:シニア薬剤師の給料相場と幸せな働き方の見つけ方

定年後のキャリアを考えるシニア薬剤師が、自身の給料相場や幸せな働き方を見つけるための転職ポイントを解説したイラスト。

シニア薬剤師の給料相場は、50代のピーク時から下がることが一般的ですが、それは決して「あなたの価値が下がった」ことを意味しません。働き方の選択肢が増え、より自分らしいペースで仕事ができるチャンスでもあります。

  • 60代薬剤師の平均年収は約622万円だが、再雇用か転職かで大きく変わる
  • 雇用形態(正社員・パート・嘱託)によるメリット・デメリットを比較検討する
  • 都市部は買い手市場だが、地方には年収700万超えのシニア歓迎求人もある
  • 在職老齢年金制度を理解し、年金カットされない「月収50万円の壁」を意識する
  • 療養型病院や軽単科薬局など、体力的負担の少ない職場を選ぶ
  • 管理薬剤師の肩書きを降りる「ダウンシフト」も賢い選択肢の一つ
  • 新しいシステムや電子薬歴への適応力をアピールすることが採用の鍵
  • 「謙虚さ」と「健康」は、ベテランのスキル以上に強力な武器になる
  • 一人薬剤師や管理薬剤師急募のブラック求人には手を出さない
  • 定年退職金と転職のタイミングを見極め、生涯年収で損をしない計算をする
  • シニア特化や地域密着型の転職エージェントを活用して、非公開求人を探す
  • 結局は「自分がどう生きたいか」を優先し、無理のない働き方を見つける
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