「調剤室の片隅で、患者さんが来ないかビクビクしながらおにぎりを詰め込む…」
「一人薬剤師だからトイレに行くタイミングすらなく、膀胱炎になりかけている…」
「求人票には休憩60分とあったのに、実際は電話番で気が休まらない…」
毎日、このような環境で神経をすり減らしていませんか?
調剤薬局、特に小規模な店舗や一人薬剤師の現場では、「休憩室がない」「休憩が取れない」という悩みが深刻化しています。「みんな我慢しているから」「医療職だから仕方ない」と自分に言い聞かせているかもしれませんが、実はその環境、法律的に見ても、安全管理の観点から見ても「異常」である可能性が高いのです。
私自身も過去に、更衣室と兼用の狭いスペースで段ボールに囲まれて昼食をとっていた経験があります。食事中も電話が鳴れば箸を置き、予製を作りながらパンをかじるような日々でした。その結果、慢性的な胃腸の不調と、ふとした瞬間の調剤ミスへの恐怖に常に怯えることになりました。
この記事では、元薬剤師としての経験と、労働基準法などの客観的なデータに基づき、あなたの職場が「ブラック」なのかどうかを判定する基準や、今の環境で少しでも休息を確保するための具体的なテクニック、そして根本的な解決策について詳しく解説します。あなたの健康とキャリアを守るために、ぜひ一度立ち止まって確認してみてください。
「休憩がないのは当たり前」という思い込みを捨てましょう。それはプロフェッショナルとしての責任放棄ではなく、自分自身を守るための第一歩です。
この記事で分かること
- 労働基準法違反となる「名ばかり休憩」の具体的基準
- 休憩なし勤務が引き起こす薬剤師特有の健康リスクと過誤の危険性
- 今の職場で休憩スペースや時間を確保するための交渉術
- 「休憩室完備」のホワイト薬局を見極めるためのチェックポイント
薬局に「休憩室がない」悩みは甘えではない!異常な実態と危険なリスク
「休憩室がないくらいで文句を言うな」と上司や経営者に言われたことはありませんか?しかし、休憩設備や時間の欠如は、単なる福利厚生の問題ではありません。それは労働基準法や労働安全衛生法に関わる重大なコンプライアンス問題であり、何より患者さんの命を預かる薬剤師としてのパフォーマンスに直結する深刻なリスク要因です。
ここでは、感情論ではなく「法律」と「医学的リスク」の観点から、休憩室がない現状がいかに異常であるかを解説します。もしあなたの職場がこれらに当てはまるなら、それはあなたが弱いからではなく、職場環境そのものが「構造的な欠陥」を抱えている証拠です。現状を正しく認識することから始めましょう。
【法律違反?】労働基準法における「休憩」の定義と45分・60分の壁
まず、労働基準法第34条に基づく「休憩のルール」を明確にしておきましょう。多くの薬局経営者がここを曖昧にしていますが、法律は非常にシンプルで厳格です。労働時間が6時間を超え8時間以下の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間(60分)の休憩を、労働時間の「途中」に与えなければなりません。
重要なのは「時間の長さ」だけではありません。「休憩の質」も問われます。法律には「休憩時間の自由利用の原則」があり、休憩中は労働から完全に解放されていなければならないと定められています。つまり、「電話が鳴ったら出る」「患者さんが来たら対応する」という状態で待機している時間は、法的には「手待ち時間」と呼ばれ、休憩時間ではなく労働時間とみなされます。
もしあなたが「休憩中も店舗にいなければならない」「電話対応を義務付けられている」のであれば、それは休憩を与えられていないのと同じです。さらに言えば、その時間分の賃金が支払われていなければ、「賃金未払い」という違法状態になります。これは労働基準法(e-Gov法令検索)でも明確に定義されており、過去の判例でも労働者側が勝訴しているケースが多々あります。
多くの薬剤師が「医療従事者だから緊急対応は当然」という職業倫理につけこまれ、この権利を侵害されています。しかし、経営者は本来、緊急対応が必要なら交代要員を配置するか、閉局時間を設けるなどの措置を取る義務があるのです。あなたの善意に甘えているだけの経営体制は、明らかに異常だと言わざるを得ません。
「調剤室でご飯」「トイレ我慢」が引き起こす薬剤師の健康被害とミス
休憩室がなく、調剤室の片隅や鑑査台で食事をとることは、衛生管理上極めて不適切です。散剤(粉薬)が舞う空間や、検体検査を行う可能性のある場所での食事は、薬剤師自身の健康を害するだけでなく、異物混入などのコンプライアンス違反にもつながりかねません。生理的にも「仕事場」と「食事場」が同じであることは、脳が休息モードに切り替わらず、交感神経が優位な過覚醒状態が続く原因となります。
また、休憩が取れないことによる身体的ダメージも深刻です。特に多いのが「膀胱炎」です。一人薬剤師などでトイレに行くタイミングを失い、限界まで我慢することを繰り返すと、慢性的な膀胱炎や腎盂腎炎のリスクが高まります。立ち仕事による足のむくみや静脈瘤、早食いによる胃腸障害など、薬剤師の職業病とも言える症状は、適切な休憩さえあれば防げるものが多いのです。
さらに恐ろしいのが「調剤過誤(ヒューマンエラー)」のリスクです。人間の集中力は一般的に90分が限界と言われています。休憩なしで8時間以上連続勤務を行えば、判断力や注意力が低下するのは生理学的に当然です。ピッキングミス、入力ミス、相互作用の見落とし…これらが起きたとき、責任を問われるのは経営者ではなく、現場の薬剤師であるあなた自身です。
もし心身の不調を感じているなら、厚生労働省「こころの耳」などの公的な情報サイトでストレスチェックを行ってみることをお勧めします。自分の状態を客観的に知ることは重要です。
なぜ改善されない?小規模薬局・一人薬剤師の構造的な闇
なぜ、これほど明白な問題が薬局業界では放置され続けているのでしょうか。その背景には、業界特有の構造的な問題があります。最大の要因は、「小規模店舗の物理的限界」です。駅前やクリニックの門前に出店する場合、収益性を最大化するために店舗面積をギリギリまで削ることがあります。その結果、調剤室と待合室だけでスペースが埋まり、休憩室は設計段階から排除される、あるいは更衣室と兼用の極小スペースにならざるを得ないのです。
次に、「一人薬剤師(ワンオペ)体制」の問題です。薬機法(旧薬事法)において、薬剤師が不在の状態では調剤室を開けておくこと(調剤業務を行うこと)はできません。つまり、薬剤師が1人しかいない店舗では、その薬剤師が休憩に入って完全に業務から離れると、薬局としての機能を停止(一時閉局)しなければなりません。しかし、経営者は「処方箋が来るかもしれないから開けておけ」と指示することが多く、結果として「店を開けながら休む=手待ち時間」という違法状態が常態化します。
さらに、「みなし休憩」の悪用もあります。シフト上は「休憩60分」として給与から1時間分を差し引いているにもかかわらず、実際には働かせているケースです。これは事実上の「タダ働き」であり、経営者にとっては人件費削減の都合の良い手段となっています。「昔はもっと大変だった」「うちはアットホームだから」といった精神論で、法的な義務をごまかそうとする経営者も少なくありません。
このような構造的な問題は、一従業員の努力だけで解決するのは非常に困難です。店舗のスペースを物理的に広げることも、人員を増やすことも、経営者の決断が必要だからです。もし経営者に改善の意思が見られない場合、それはあなたがその職場に見切りをつけるべき決定的なサインかもしれません。
あなたの職場はブラック?「休憩とれてない度」セルフチェックと証拠保全
「うちは休憩室はないけど、みんなうまくやってるし…」と感覚が麻痺していませんか?ブラックな環境に長くいると、異常な状態が「普通」に思えてくる学習性無力感に陥ることがあります。まずは客観的な基準で、あなたの職場の「休憩とれてない度」を判定してみましょう。
また、もし将来的に未払い残業代を請求したり、転職時の条件交渉に使ったりするために、今のうちから「証拠」を残しておくことも重要です。ここでは、具体的なチェックリストと、賢い証拠の残し方について解説します。自分の身を守るための武器を揃えましょう。
【チェックリスト】その「手待ち時間」は労働時間です!未払い賃金の可能性

以下の項目について、あなたの職場がいくつ当てはまるかチェックしてみてください。これらはすべて、労働基準法における「休憩の自由利用の原則」や「休憩時間の付与義務」に違反している可能性が高い項目です。3つ以上当てはまる場合は、ブラック確定レベルの危険信号です。
「休憩とれてない度」チェックリスト
- 休憩中に電話が鳴ったら必ず出なければならない
- 患者さんが来局したら、食事を中断して対応するルールがある
- 店舗の外に出る(外出)ことが禁止されている、または許可制である
- 休憩時間中に薬歴(電子薬歴)の入力を済ませるよう言われている
- 休憩スペースがなく、調剤室や鑑査台で食事をとっている
- トイレに行く際も「行ってきます」と報告し、急いで戻らなければならない
- 求人票の休憩時間と、実際の休憩時間が日常的に乖離している
特に重要なのは、「電話番」や「来客対応」の待機時間です。これらが「労働時間」なのか「休憩時間」なのかは、法的に明確な線引きがあります。以下の表を参考に、あなたの状況がどちらに当てはまるか確認してください。
| 項目 | 休憩時間とみなされるケース | 労働時間(手待ち時間)とみなされるケース |
|---|---|---|
| 電話対応 | 電話当番を別のスタッフに任せ、自分は一切対応しなくて良い状態 | 電話が鳴ったら即座に対応できるよう、待機を義務付けられている状態 |
| 場所の拘束 | 外出が自由で、どこで過ごしても構わない | 店舗内や特定の場所に留まることを強制されている |
| 業務指示 | 業務から完全に離れている(昼寝や読書も可) | 「今のうちに薬歴を書いておいて」等の指示がある |
| ユニフォーム | 着替えても良い、またはリラックスできる状態 | 白衣を着たまま、いつでも投薬できる状態を強要される |
このように、「いつでも対応できる状態」で待機させているなら、それは立派な労働時間です。労働時間である以上、その時間に対しても給与が発生します。「休憩扱い」にして給与をカットされているなら、それは明白な違法行為であることを認識してください。詳しくは厚生労働省「労働時間・休日・休憩」のページでも解説されています。
言った言わないを防ぐ!「業務日報」を使った賢い証拠の残し方
「休憩が取れていないので改善してください」と口頭で訴えても、「君の要領が悪いからだ」と一蹴されたり、「記録がないからわからない」とはぐらかされたりすることがあります。そうならないために、日々の業務記録を「証拠」として残す習慣をつけましょう。これは、万が一労基署に相談する際や、未払い残業代を請求する際に決定的な証拠となります。
具体的には、手帳やスマホのメモアプリを使って、以下の内容を毎日記録します。会社指定の業務日報がある場合は、備考欄などにさりげなく書き込むのも有効です。
証拠保全ノートの記録項目
- 日付・曜日: シフト上の勤務時間と実際の拘束時間
- 休憩入り時間・戻り時間: 「12:00〜12:15(15分のみ)」など正確に
- 中断の理由: 「12:15 患者A氏来局対応のため中断」「12:30 〇〇医師からの疑義照会対応」
- 指示の内容: 「管理薬剤師より『混んでいるから休憩なしで』と指示あり」
ポイントは、「第三者が見ても客観的な事実」として書くことです。感情的な不満ではなく、「何時何分に何が起きて休憩が取れなかったか」という事実を積み重ねてください。また、タイムカードや勤怠システムの打刻履歴も、可能であれば写真に撮っておくか、控えを保存しておきましょう。「休憩ボタン」を押した時刻と、実際に業務を行っていた時刻(電子薬歴の最終保存時刻など)との矛盾があれば、それも強力な証拠になります。
もし自分で判断がつかない場合は、厚生労働省「確かめよう労働条件」などのサイトで情報を確認し、準備を整えておくことをお勧めします。
転職できない人へ|今の環境で「休憩」を確保するための現実的な対策
「ブラックなのは分かったけど、家庭の事情ですぐには転職できない…」
「今の薬局は人間関係だけは良いから、なんとか環境だけ改善したい…」
そんな方のために、今の職場で少しでも快適な休憩時間を確保するための現実的なハックを紹介します。法律論で経営者と戦うのはエネルギーが必要ですが、自分の工夫や小さな交渉で改善できる余地は残されているかもしれません。明日から試せる具体的な方法を見ていきましょう。
狭い店舗でもスペースを作る!パーソナルスペース確保と「外出」交渉術
物理的に休憩室がない場合、視覚的な遮断を作るだけでも休息効果は変わります。例えば、調剤室の隅や更衣室に、簡易的なパーテーションやついたてを設置する許可をもらいましょう。「着替えが見えないようにしたい」という理由なら、経営者も導入しやすいはずです。その裏側に折りたたみの椅子と小さなテーブルを置けば、最低限の「プライベート空間」が生まれます。
また、最も効果的なのは「外出」の権利を勝ち取ることです。法律上の「休憩の自由利用」を根拠に、たとえ15分でも30分でも、店舗の外に出る習慣を作りましょう。最初は「銀行に行ってきます」「コンビニに行きます」といった用事を理由にして実績を作り、徐々に「休憩中は外に出るキャラ」を確立するのです。
外の空気を吸い、職場とは違う景色を見るだけで、脳のリフレッシュ効果は絶大です。もし「何かあったら困る」と止められる場合は、「個人の携帯電話を持っているので、緊急時は必ず出ます」と妥協案を提示するのも一つの手です(本来はこれも手待ち時間になりますが、店内に監禁されるよりは精神衛生上マシです)。
私も狭い薬局時代、昼休みは近くの公園のベンチまで逃げていました。たった20分でも「患者さんも上司もいない時間」を持つことが、午後の業務を乗り切る唯一の救いでした。
車休憩・近隣カフェ利用のメリット・デメリットと必須グッズ
地方のロードサイド店舗や、駐車場のある薬局なら、「自家用車」を休憩室化するのが最強のソリューションです。車内なら完全に一人になれますし、好きな音楽を聴いたり仮眠を取ったりすることも自由です。また、都市部なら近隣のカフェやファミレスを「第二の休憩室」として定額利用するのも賢い投資です。
それぞれの休憩スタイルにはメリットとデメリットがあります。以下の表を参考に、自分に合ったスタイルを検討してみてください。
| 休憩スタイル | メリット | デメリット | おすすめグッズ・対策 |
|---|---|---|---|
| 自家用車 | 完全個室、仮眠可、電話通話も自由 | 夏は暑く冬は寒い(ガソリン代)、座席が狭い | サンシェード、車用扇風機、ネックピロー、ブランケット |
| 近隣カフェ | 空調完備、美味しい飲み物、気分転換 | 金銭的コストがかかる、混雑時は座れない | ノイズキャンセリングイヤホン、コーヒーのサブスク利用 |
| 店舗内(隅) | 移動時間ゼロ、金銭コストゼロ | 電話や会話が聞こえる、気が休まらない | アイマスク、耳栓、視界を遮るパーテーション |
特に車休憩をする場合、サンシェードで外からの視線を完全に遮断するのがポイントです。また、エンジンをかけっぱなしにすることへの罪悪感や環境への配慮が必要な場合は、ポータブル電源と電気毛布(またはUSB扇風機)を持ち込むと快適に過ごせます。「自分の城」を車の中に作ることで、職場からの精神的な切り離しを行いましょう。
休憩室がない薬局から脱出する!失敗しない転職先の選び方と見極めポイント

「工夫してみたけど、やっぱり限界…」
「これ以上、自分の健康を犠牲にしたくない」
そう感じたら、転職活動を始めるタイミングです。薬剤師の求人は数多くありますが、その中から「休憩室が完備され、しっかり休める職場」を見つけ出すにはコツがいります。求人票の「休憩あり」という文字だけを信じてはいけません。ここでは、二度と休憩なし地獄に落ちないための、プロ視点での見極めポイントを伝授します。
求人票の「休憩あり」を信じるな!店舗見学で絶対に見るべきバックヤード

求人票には必ず「休憩60分」と書かれています。法律上、そう書かないと求人を出せないからです。しかし、実態が伴っているかは別問題です。真実を知るためには、面接時に必ず「店舗見学」を申し出てください。そして、綺麗な待合室や最新の分包機に目を奪われるのではなく、バックヤード(休憩室・更衣室)を自分の目で確認することが最重要ミッションです。
チェックすべきポイントは以下の通りです。
- 休憩室の広さ: 人数分の椅子とテーブルがあるか?(パイプ椅子1つだけではないか)
- 清潔感: 在庫の段ボール置き場になっていないか?(=人が大切にされていない証拠)
- 設備: 冷蔵庫、電子レンジ、ポットはあるか?(食事をする前提の環境か)
- スタッフの雰囲気: 休憩中のスタッフがリラックスしているか、それとも疲弊しているか
もし見学時に「バックヤードは散らかっているので…」と案内を渋られたら、その薬局は黄色信号です。休憩室を見せられないほど劣悪な環境である可能性が高いからです。遠慮せずに「働く環境をしっかり確認したいので」と食い下がるか、その時点で候補から外す勇気を持ちましょう。
大手チェーン・ドラッグストア・病院|業態別「休憩事情」の相場観
休憩環境は、薬局の業態によって大きく異なります。一般的に、組織が大きいほどコンプライアンス遵守の意識が高く、休憩室も整備されている傾向にあります。一方で、個人経営の薬局は経営者の考え方に左右されやすく、当たり外れが激しいのが特徴です。
以下の表は、私の経験と一般的な業界データを元にした、業態別の休憩事情比較です。転職先を選ぶ際の目安にしてください。
| 業態 | 休憩室の設置率 | 休憩取得の確実性 | 特徴・注意点 |
|---|---|---|---|
| 大手チェーン薬局 | 高い(◎) | 高い(◎) | 店舗設計に休憩室が組み込まれていることが多い。ヘルプ体制もあり休みやすい。 |
| ドラッグストア | 非常に高い(◎) | 普通(○) | 休憩室は完備されているが、店舗スタッフとしてレジ応援などで中断される場合も。 |
| 病院薬剤師 | 高い(○) | 普通(○) | 当直室や食堂など設備は充実。ただし救急対応などで休憩が不規則になることも。 |
| 中小・個人薬局 | 低い(△〜×) | 低い(△〜×) | 店舗による差が激しい。門前クリニックの診療時間に左右され、中抜け休憩(3時間拘束など)の場合も。 |
確実に休憩を取りたいなら、大手チェーン調剤薬局やドラッグストアが安全牌です。労務管理がシステム化されており、「休憩を取らせないとエリアマネージャーの評価が下がる」といった仕組みがあるため、無理やりでも休憩を取らせてくれる傾向があります。逆に、「アットホームな個人薬局」は、人間関係が密である分、休憩時間もなあなあになりがちなので注意が必要です。
管理薬剤師・一人薬剤師の特有の悩み|責任と休息のバランスを取る方法
「自分が休むと薬局が回らない」「管理薬剤師だから責任がある」
そう責任感の強い方ほど、自分を犠牲にして働きがちです。しかし、管理薬剤師であっても労働基準法上の「管理監督者」に該当することは稀であり、休憩を取る権利は一般薬剤師と同様にあります。
特に一人薬剤師(ワンオペ)の場合、物理的に代わりがいないため、状況は絶望的に思えるかもしれません。しかし、ここでも諦めてはいけません。ワンオペ特有の解決策と、交渉の切り札について解説します。
「ワンオペでトイレに行けない」人権侵害レベルの環境を変える交渉スクリプト
一人薬剤師がトイレや休憩に行くためには、一時的に店舗を閉める(閉局する)しかありません。しかし、多くの薬剤師が「勝手に閉めたら怒られる」と躊躇しています。ここで必要なのは、経営者との事前の合意形成です。
以下のスクリプトを参考に、経営者に具体的な運用ルールを提案してみてください。
「先生、ご相談があります。一人体制での勤務中、トイレや急な体調不良の際に、防犯と安全管理のために『一時閉局中』の札を出して施錠することを認めていただけないでしょうか?万が一、開けたまま離席して薬品の盗難や事故が起きた場合、会社の責任問題になってしまいます。」
ポイントは、「私が辛いから」ではなく「会社の防犯・安全管理のため」というロジックで攻めることです。まともな経営者であれば、盗難リスクや事故リスクを無視することはできません。これを認めさせれば、堂々と鍵をかけてトイレに行き、そのついでに少し長めに休憩をとることも可能になります。
「生理現象さえ我慢させる職場」は人権侵害です。もしこの提案すら却下されるなら、その会社にあなたの人生を預ける価値はありません。即刻退職を検討すべきレベルです。
精神的限界を迎える前に利用すべき公的相談窓口と「こころの耳」
もし、上司や経営者に相談しても改善されず、心身ともに限界を感じているなら、外部の力を借りる時です。我慢して倒れてしまっては元も子もありません。公的な相談窓口は、労働者の強い味方です。
まずは東京労働局(または最寄りの労働局)の「総合労働相談コーナー」に連絡してみましょう。法的なアドバイスや、場合によっては会社への指導を行ってくれることもあります。また、メンタルヘルス不調を感じている場合は、先ほども紹介した厚生労働省「こころの耳」で、メールや電話による専門家への相談が可能です。
これらの窓口を利用することは、決して「告げ口」や「裏切り」ではありません。自分自身を守るための正当な権利行使です。一人で抱え込まず、プロのアドバイスを受けて、現状を打破するきっかけを作ってください。
Q. 薬局に休憩室がないのは違法ですか?
A. 休憩室の設置自体は「努力義務」に近いですが、労働安全衛生規則により、事業者は労働者が有効に利用できる休憩設備を設けるよう努める必要があります。ただし、「休憩時間を与えない」ことや「休憩できる場所がない(座る場所もない)」状態は、実質的に休憩の取得を妨害しているとみなされ、問題視される可能性が高いです。
Q. 休憩中に電話番をさせられます。これは労働時間ですか?
A. はい、完全に労働時間です。法的には「手待ち時間」と呼ばれ、労働から解放されていないため休憩とは認められません。この時間に対して賃金が支払われていない場合、労働基準法違反(賃金未払い)となります。
Q. 6時間勤務なら休憩なしで働かされても文句言えませんか?
A. 労働時間が「ちょうど6時間」であれば、法的には休憩なしでも違法ではありません。しかし、6時間を1分でも超えれば最低45分の休憩が必要です。残業などで6時間を超える可能性がある場合は注意が必要です。
Q. パートには休憩があって正社員にないのは差別では?
A. 休憩の付与ルールは雇用形態に関係なく、労働時間の長さによって決まります。正社員だからといって休憩を与えなくて良いという法律はありません。「正社員は責任があるから休憩なし」というのは会社独自の不当なルールに過ぎません。
Q. 休憩が取れないことを理由に即日退職できますか?
A. 民法上は原則2週間前の申し出が必要ですが、「やむを得ない事由」(労働条件の著しい相違や健康被害の恐れなど)がある場合は、即時解除が認められる可能性があります。ただしトラブルを避けるため、弁護士や退職代行、労基署に相談の上で進めるのが無難です。
Q. 転職エージェントに「休憩室がある薬局」を指定していいですか?
A. もちろんです。むしろ必須条件として伝えるべきです。「休憩室の有無」は従業員を大切にしているかどうかの重要な指標です。エージェント経由なら、聞きにくいバックヤードの事情も事前に確認してもらうことができます。
まとめ:薬局で休憩室がない悩みを抱え込まず、自分らしい働き方を選択しよう
「休憩室がない」「休憩が取れない」という悩みは、決して些細なことではありません。それはあなたの健康、精神、そして薬剤師としてのキャリアを脅かす重大な問題です。記事の中で解説した通り、今の環境が法律違反である可能性が高いなら、我慢し続ける必要はありません。
証拠を集めて改善を要求するのも一つの道ですし、より良い環境へ転職するのも賢明な選択です。一番大切なのは、あなたが心身ともに健康で、笑顔で患者さんと向き合えることです。今の苦しい環境が「当たり前」ではないことに気づき、自分を守るための行動を起こしてください。
我慢は美徳ではない!健康とキャリアを守るための最終確認

- 労働時間が6時間を超えるなら45分、8時間超なら60分の休憩は絶対的な権利
- 「電話待ち」や「来客対応待機」は休憩ではなく労働時間(賃金発生対象)
- 休憩なし勤務は膀胱炎などの健康被害や調剤過誤のリスクを高める
- チェックリストで3つ以上当てはまるならブラック薬局の可能性大
- 証拠保全のために「業務日報」や「メモ」を詳細に残すことが重要
- 今の職場で改善が難しいなら、パーソナルスペースの確保や外出を試みる
- 車休憩や近隣カフェ利用など、自分なりの休息スタイルを見つける
- 転職時は求人票を鵜呑みにせず、必ず店舗見学でバックヤードを確認する
- 大手チェーンやドラッグストアは休憩環境が整っている傾向が高い
- 一人薬剤師でも防犯を理由に「一時閉局」を交渉する余地はある
- 我慢の限界が来る前に公的な相談窓口(労基署など)を利用する
- 自分を大切にできない環境で、患者さんを大切にすることはできない
